
ニュースで大きく取り上げられ、多くのお客様にご心配をいただいておりますスリランカの経済危機につきまして。
今に始まったことではなく、今年に入ってじわじわと生活状況が悪化しており、今までに経験したことのないような状況です。
そもそも、2009年に内戦が終結し、平和が訪れたスリランカ。あっという間に観光立国になり、世界各地より観光客が訪れるリゾート地として脚光を浴び、外貨を獲得しておりました。
2019年4月テロ事件があり、海外観光客の足が遠のきました。
2020年コロナの影響により、厳しいロックダウンをしたスリランカ。まずここで観光客が激減して打撃を受けます。その後もコロナの波が次々と押し寄せ、経済活動を開始したりロックダウンをしたりの繰り返し。
そのような中、2021年4月化学肥料の輸入禁止を宣言し、紅茶を含めお米など農作物は国をあげてオーガニック農業を促進する政策を打ち出しました。ゆっくりと時間をかけて進めていけば、とても魅力的な政策に見えますが、あまりにも急すぎて、化学肥料に代わる有機肥料の準備が何一つできておらず、このままでは紅茶の生産量が落ちていくのは明らか。この政策に反発した農民が、耕作を放棄した土地も。その後、政府は11月、この政策をいったん白紙に。紅茶産業は元の状況に戻りましたが、2022年今年に入って、予想通り紅茶の生産量は(約15%ほど)落ちています。
さらに今年に入り停電が始まり、一日2時間程度が、3月には13時間停電に。それまで開催してきたスリランカオンラインツアーも、いつ現地が停電になるかわからないので、開催を見送るようになりました。
スリランカのステイ先の家族に話を聞くと、プロパンガス、ガソリン、灯油、軽油…すべて不足しており、手に入れるためには、何日も並ばなくてはならないと。並んでも、手に入らないこともあると。コロンボは熱帯の暑さです。照りつくような灼熱の太陽の下、外に何日も並ぶのはとても危険です。命を落とす方もいます。
驚くような物価の値上がり、またガソリン不足から移動もできず、学校もずっとお休みだそう。電力不足でオンライン授業も難しい状況です。プロパンガスが手に入らないので、以前のように薪を使ってお料理する人も増えており、また一日3食を2食、1食に減らす人も多いのが実情です。
いつもはとても穏やかで人懐っこいスリランカ人ですが、このような状況になると治安も一部悪化しているようです。
私がスリランカに住んでいた当時、まだ内戦中でしたが、今思えば食べ物は豊富にあり、移動も自由にでき、とても住みやすく快適な毎日でした。
ですが、今のスリランカは想像を超えるほど、人々の生活は困窮しています。
では、紅茶産業はどうなのか。
紅茶は国を代表する産業であり、外貨を獲得できる重要な産業であるので、優先的に燃料や電気を優遇しています。紅茶の生産に関しては全く問題ないし、そもそも茶摘みはほぼ100%手摘みで行われており、製茶工場を稼働する電力もなんとかまかなえていると。輸送に関しては少し遅れがちではありますが(そもそもスリランカが何も買えないので船やコンテナが何も持ってくるものが無いのであまり来ない)、紅茶が全く日本に届かないということもないです。紅茶のサンプルは相変わらず迅速にMITSUTEAに届きますし、ティーオークションも通常通り開催されています。将来的にはまだどうなるかわかりませんが、今のところはこのような状況です。
では、困窮しているスリランカの人たちに、日本にいる私たちに何ができるのか。
茶園の方たちに尋ねたところ、
「スリランカの紅茶をたくさん飲んでくれれば、それが一番の支えになるよ」と。
私たちはプロパンガスは送れないし、燃料も送れない。
でも日本で紅茶を飲むことはできます。
紅茶はMITSUTEAはドル建てで支払います。
紅茶を飲んで、スリランカもハッピー、日本の皆様もハッピーに。
そして、一にも早く、いつものスリランカの日常に戻れますように。。。
→2022年7月9日、コロンボでラジャパクサ大統領の退陣を求める大規模なデモが行われました。数千人規模のデモ隊が大統領公邸になだれ込み、公邸を占拠しました。ゴタバヤ ラージャパクサ大統領、ウィクラマシンハ首相は辞任の意向を表明。
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