茶摘み


 まずは私がいちばん好きな紅茶、ヌワラエリヤに住みました。
 スリランカといえども、ヌワラエリヤ地方は標高1800mの高
 地。朝晩はとても冷え込み、夜は毛布を2枚重ねて寝るほ
 どです。茶摘をする人の多くはタミール人の女性で、みんな
 寒さ対策として、サリーの上にカラフルなカーディガンを羽織
 っていました。みたところ20人ほどが1グループでその女性た
 ちを男性3〜4人で仕切っているようです。
 そのグループごとに、茶摘みの場所を移動しています。
 
 最初の三ヶ月間は、ペドロエステートで働きました。毎日、
 茶摘みもさせてもらいました。背丈以上もある木の棒を1本
 持ち、ひも付きの籠を背中に背負い、そのひもを頭にかけれ
 ば準備はOK!

 木の棒は何に使うかというと…。それを茶の木の畝の上にポンと置き、自分がどこまでつんだかを見極
 める目安にするためす。何しろ茶園は想像を絶する広さですから。それだけではなく、ちょうどその棒か
 ら一芯二葉が上に飛び出るので、つむときにもわかりやすいのだそうです。しかし、私が習ったとおり一
 芯二葉を摘もうとすると、
 「NO!NO!」とお叱りこと言葉が…。?????…。私にはどの葉っぱもとても若々しく見え、紅
 茶にぴったりだと思っているのですが…。プロの目から見ると、紅茶に適した葉っぱ、まだ摘むには早す
 ぎる葉っぱと、大きな差があるそうです。また、いくら摘みどきの葉っぱだとしても、決して摘んではいけ
 ないものもあります。
 
 茶園は日本人がイメージする茶園とはまるで違います。日本の茶畑は、平らな土地に整然と茶の木
 が植えられていて、とても機械化されています。スリランカの茶園は、山の中、見渡す限りぜ〜んぶぜ
 〜んぶお茶の木です。そびえたつ崖っぷちにも茶の木が植えられており、「いったい誰が摘むのだろう?
 」と思えるような場所が信じられないほどたくさんあります。命綱をして男性が茶を摘む場所もあるので
 すから。私なんかは手ぶらでも、きっとまともにまっすぐ立てないような場所でも、彼女たちは籠を背負い、
 葉っぱを摘むのです。スリランカでの茶摘はほぼ100%人の手に頼っています。背負った籠ひとつには、
 約10キログラムの葉っぱが入り、彼女たちは丸一日働いて、その籠2つ分・約20キログラムの葉っぱを
 摘みます。その20キログラムの葉っぱからは、約6キログラムの紅茶ができます。それだけ働いて、彼女
 たちは日当140円です…。彼女たちがいなければ私はおいしい紅茶が飲めなくなります。実際に彼女
 たちの働きぶりを目の当たりにし、感謝の気持ちでいっぱいになりました。なにしろ、日本はこのスリラン
 カから、年間1万8000トンの紅茶を輸入しているのですから。
 
 プラッカーの手を見せてもらいました。何十年も茶摘をしているからでしょう。その手はごつごつとしていて、
 足の裏のようでした。

 今でも紅茶を飲むとき、その手を思い出します。


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